大学教員,科学と教育と音楽について語る

大学教員(気象予報士)でありギター弾きのワタシが,天気に科学に教育に音楽に,日々思う雑感を語ります。

雲ができるしくみ~その1(雲は何からできているのか)

 空に浮かび色々な形をした雲。青い空にぽつぽつと浮かんでいたり,空一面ベッタリ覆いつくしていたり,キノコのようにモクモク背高くのびたり,雲との出会いはまさに一期一会,全く同じ雲に再び出会うことはありません。

 さて,このように様々な姿を見せる雲,どうやってできるのでしょうか。そもそも雲は何でできているのか。たまには,雲のような何のお腹のたしにもならない話について「へえー」と思うことも,人生のちょっとしたスパイスになるというものです。

 これから雲ができるしくみについて,4つの記事(「その1」から「その4」まで)にわけて説明していきます。

 まず,雲って何でできていると思いますか。大学での講義や天気に関する講演会などでこの質問をすると,「水蒸気」という答えが本当に多い。では,「水蒸気って何?」と聞くと,よくわからないというのがこれまた殆ど。水蒸気とは何かということも含めて,そもそも雲が何でできているのか,あまり理解されていないようです。雲は何からできているのか,これを知らずして雲が発生するしくみの理解はできません。

 まず「水蒸気」とは何か。これについては,以前の記事「物の状態を原子と分子でイメージしよう」を読んでいただければより理解が深まると思いますので,ぜひご一読ください。

yyamane.hatenablog.com

 ここでは簡単にかりつまんで説明します。「水蒸気」とは,水分子が気体の状態にあるものです。全ての物質は細かく細かく分けていくと原子というものにたどりつきます。この原子が幾つかくっついて分子をつくります。例えば,水分子は水素原子(H)が2つと酸素原子(O)が1つくっついた分子で,いわゆる「H2O」というやつです。気体の状態とは,原子や分子がそれぞれ目にもとまらなぬ速さで動きまくっている状態です。固体の状態とは,原子や分子が固く結びついてまとまっている状態。液体の状態は気体と固体の間のような状態で,固体ほどではないが原子どうし,分子どうしがゆる~く結びついている感じ。ただ,気体ほど自由勝手に動き回ってはいないという状態です。ちなみに,原子や分子がどれだけ活発に動きまくっているか,その目安が温度です。温度が高い状態とは,原子や分子がより活発に動きまくっている状態です。

 というわけで,「水蒸気」は水分子が気体の状態にあり,水分子が目にもとまらぬ速さで動きまくっている状態。”目にもとまらぬ”ということなので,気体の状態の水蒸気は目に見えません。というわけで,目に見える雲が目に見えない水蒸気でできているはずはなく,雲を作っているのは水蒸気ではないということになります。

 では,雲は何?ここでよく考えてください。雲から何が降ってきます?雨,雪,ひょう・・・。つまり,水(水分子が液体の状態のもの)や氷(水分子が固体の状態のもの)です。これらが雲から降ってくるのですから,雲は水や氷からできているということになります。

 

【結論~雲は何からできているのか】

雲は水(水分子が液体の状態のもの)や氷(水分子が固体の状態のもの)からできている。

 

 では,どうやって上空で水や氷ができて雲が発生するのか?これについては次以降の記事で説明していきます。