大学教員,科学と教育と音楽について語る

大学教員(気象予報士)でありギター弾きのワタシが,天気に科学に教育に音楽に,日々思う雑感を語ります。

バングラデシュで感じた日本との違い~その2(繋がりを大切にする)

 さて,実は今年入って初めてのブログとなります。みなさま,本年もどうぞよろしくお願いします。昨年1月から書き始めたこのブログ。上半期はまあまあ頑張って書いて投稿しておりましたが,下半期に失速してしまい記事はほぼゼロでした。今年はなるべくコンスタントに投稿していきたい(と書いておいて,この2月の段階で本年初の記事という状態・・・)。書くことで自分の頭の中の考えが整理,明確化されます。そのようなブログの効用もありますので,今年は投稿を増やして頭の整理を図りつつ,多くの方に発信できればと思っております。

 

 2024年といいますと,実は私がバングラデシュで調査研究をはじめて22年目。改めて,20年以上もバングラデシュと関わり続けているのかと感慨深く思うと同時に,こんなに長くお付き合いすることになるとは予想外でもありました。というのも,そもそもは自分の方から積極的にバングラデシュに行こうと思ったわけではなかった。初めてバングラデシュへ行った当時,大学院生だった私の指導教員からたまたま「あんた,バングラ行くか?」と言われ,「旅費も出すよ」ということで,「タダで海外行けるならまあ行ってもいいか」という感じで,軽い気持ちで行くことにしたのがキッカケだったのです。なので,まさかこんなに長くバングラデシュと関お付き合いすることになろうとは当初想像もしなかったわけです。

 

 長いお付き合いに繋がる出会いというのは,意図せず偶然からはじまるということが結構ありますよね。その出会いがどうなるか,まったく予測不能。だからこそ,一期一会。

 

 さて,「繋がり」つながりで,今回はバングラデシュで感じた人々の「繋がり」を大切にするところについて書いてみたいと思います。

 

 長いことバングラデシュで調査研究をしていると,バングラデシュの人どうしの繋がり,人的ネットワークの広さに驚き,そしてそれに助けられることが結構あります。

 

 バングラデシュ北部の都市マイメンシンにあるバングラデシュ農業大学の研究者を訪問した際の話。バングラデシュでの移動において,レンタカーを運転手さん付きで借りることがしばしばあります。この時もベンガル人のドライバーと共にレンタカーでマイメンシンへ。農業大学に到着して訪問先の研究者と色々と話をしていると,その研究者が「あのドライバーは以前も一緒に来てたね」と。申し訳ないが,レンタカーを借りた張本人の私が全く記憶になく,「よう覚えとるな」と感心しました。また,とある場所で仕事を終えてドライバーに車で迎えに来てもらうため電話しようとしたら,その研究者の方が「私が電話するよ」,と。いつの間には研究者の方とドライバーの方は電話番号を交換していたのです。バングラデシュではよく初対面どうしで気軽に携帯電話の番号を交換しているのを見かけます。推察ですが,またいつか何かの機会で会ったり,或いは会わずとも何かの用事で電話ぐらいするかもしれないと思い,とりあえず連絡先を交換しておこう,という感じなのかもしれません。こうやって人と人の繋がりのネットワークをどんどん広げているのかなあと思ったわけです。

 

 こんなこともありました。空港でクレジットカードを使ってATMでキャッシングをした時,最後にカードを取るのを忘れてしまい,それに気付いてATMに戻った時にはカードがなく,その後すぐにカードの利用停止をカード会社に連絡したりして,少々面倒なことになったことがありました。その話をとある研究者の方にすると,「それ,どこの銀行のATM?」と言われ,「〇〇銀行」と答えると,「〇〇銀行に知り合いがいるから電話でちょっと聞いてみる」と言ってすぐに携帯で電話をしてくれました。すると,一定時間カードが引き取られなかったため,ATMの機械の中にカードが取り込まれたらしく,カードはその銀行の空港近くの支店で保管されていることがわかりました。後日,その支店に行くと,丁重に(多分,研究者の方のツテみたいな感じゆえに)支店のちょっとエライ感じの方のオフィスに通され,自分のカードを返却してもらいました(既にカードは利用停止になっており,もう使えないわけですが,妙に安心してしまいました)。

 

 何か問題が起こった時,知り合いがいるから聞いてみる,みたいな感じで現地の研究者が人的ネットワークを使って色々動いてくれて問題が解決に進むことがしばしばあるのです。日本ではこんなことあんまりないと思いませんか。私,銀行の知り合いなんていませんよ(私のネットワークの狭さを痛感)。

 

 ダッカの街のあちこちに紅茶を出す屋台があるのですが,そこでは多分初対面であろう人たちがまるで知り合いのように会話で盛り上がっているのをよく見かけます。知らない人でも話しかけずにはいられない!って感じ。そうやって自然とネットワークは広がっていくのでしょう。このような人と人のネットワークはバングラ社会の中で重要な基盤になっていると思います。その反面といいますか,繋がりがないと物事が進みにくい部分もあるかな,という気もしております。