毎年,地学の講義をしている中で必ず取り扱う用語の一つに「反時計回り」というのがあります。地球は1日1回自転をしています。地球を北極の真上から見た時に,反時計回り,つまり時計の針が進む方向と反対の方向に回転をしています。
反時計回りとは,時計の針が進む方向と反対の回転方向
この「反時計回り」という言葉を回答する試験問題を,毎年ではないですがよく出題します。出題した時に必ず出てくる誤答で,
”半”時計回り
というのがあります。この「半時計回り」という誤答が必ず出てくる,注意してね,という話を毎年学生にするのですが,絶対にこの誤答が出てきてゼロにならないのです。学生に注意してねと話をする時,学生みーんな顔をニヤニヤさせながら「そんな間違いするわけないでしょ」みたいな感じで捉えているようです。なのにいざ試験で問われると必ずこの誤答が出現する。何度も書きますが絶対にゼロにならないのです。毎年口を酸っぱくして注意しているにもかかわらず,です。
試験の限られた時間で問題を解いていく中で,合格や単位がかかっておりどうしても緊張するし冷静さを維持するのは難しいと思います。そのような「特殊な」状況において「反時計回り」を「半時計回り」と,「はん」という音の共通性でうっかり書いてしまうということは十分あり得ると思います。しかし,この誤答はゼロにはならないが数は少ない。殆どの学生はちゃんと「反時計回り」と正確に書いています。なんら難しい問題ではない,大変お得な問題であり,多くの学生はしっかりここで得点を取っていくわけです。となると,こんな簡単な問題でうっかり間違って点を取り損ねると,これが受験だったら勝負で命取りになることもあるわけです。
基本的には,試験において難しい問題では差がつかないと思います。なぜなら,難しい問題は解くことができる人があまりいないから(解くことができれば差をつけることができますが)。となると,誰もが解くことができる基本的な問題を落とすことは試験では命取りになる。特に「反時計回り」のようなとっても簡単なものを漢字間違いで落とすなんて,相当に致命的。このような簡単でとても基本的な事柄は,「カンタンカンタン」と安易に考えて舐めてかかってしまって,理解や暗記が疎かになりがちです。こういう基本的なことこそしっかり理解し,確実に記憶する。こういうことを日常的にできるかどうかがとても大事。そういう心構えを持ち続けて欲しいといつも学生には伝えています。
基本を疎かにすると基本に泣く
ということですね。