大学教員,科学と教育と音楽について語る

大学教員(気象予報士)でありギター弾きのワタシが,天気に科学に教育に音楽に,日々思う雑感を語ります。

試験は教員にとってもツライ

 以前,教員という職業は学生と同様にながーい夏休みがあるのでは,とよく言われるけど,実はそんなことはない!ということを投稿しました。

 

yyamane.hatenablog.com

 

 多くの大学では,夏休みに入る前に試験があると思います。この試験が終われば学生たちは「わーい,夏休みだ!」となるわけですが,教員にとってはとても辛い作業が待っています。大学は夏休みに入りますが,教員(職員も)にとっては休みどころか,一年でも指折りの忙しい時期となります。

 

 ところで大学での試験は,試験期間中に行わる筆記試験であったり,筆記試験ではなくレポートを提出する等,色々な形があります。筆記試験をやったりレポートを提出したりすることはなく,普段の提出物や小テストの積み重ねで成績が評価される場合もあります。

 

 教員や科目によって色々な試験の形はありますが,最終的には必ず教員による成績評価がなされます。「秀」「優」「良」「可」「不可」といった形で成績が評価されます。これらの評価は点数に応じてなされることが多いかと。例えば,私の大学では「秀」は90点以上,「不可」は60点未満です。

 

 点数の付け方も様々だと思いますが,例えば,これまでの提出物や小テストで30点,期末の筆記試験で70点の合計100点満点で評価といった形があります(提出物,小テストの結果,期末の筆記試験など,それぞれを何点の配分にするかというのは様々でしょう)。これらの点数の配分,何の配点の比重が大きいかということはシラバスに大抵掲載されているはずなので,シラバスをしっかりチェックして,自分が受講する科目は何が重視されているのか,どこに注力すべきかを把握しておくことは,単位取得のみならずより良い成績で単位を取ることにおいて重要です。日頃の提出物や小テストの配点が高く重視される場合は,提出物は期日までにしっかり出す,毎回の小テストは高得点をとる,といった常日頃からの対応の積み重ねが重要となるわけです。

 

 色々な試験の形があるので,それに対応する学生さんも大変かと思います。しかーし,教員も大変なのですよ!何が大変かなのか?それは「採点」です。

 

 そう,試験が終わり学生達は「夏休みだ!」と解放された気分になる一方で,教員に待ち受けている試練,それが「採点」なのです。

 

 受講者数が多いと答案やレポートの量が多いから大変ということもありますが,受講者の数がそれほど多くなくても大変なことも多々あります。例えば,記述式の筆記試験の採点。選択肢を選ぶだけのものだったら採点は比較的簡単ですが,記述式の採点は答案の文章をよく吟味して採点する必要があります。答案文章の書き方も学生によって多種多様。一度読んで「はい,これは10点」といった感じでスンナリ行かないことが多々。「うーん,これは5点かな」「この要件が抜けているから1点減点かな」といった具合に,採点基準を何度も読み返しつつ答案の文章を読むことを繰り返しながら採点してきます。中には,わけのわからない文章,全く問題と無関係の文章を書いていることもあります。学生からすれば,とにかく何か書けば部分点ぐらいはもらえるかも,ということでとにかく必死に苦し紛れに何か書いてくるのでしょうが,正直これは採点する方からすればとっても迷惑です。「わけわからん」「関係ないし」ということで,適当に読み飛ばすわけにもいかず,ちゃんと読んで根拠を持って答案文章をゼロ点と採点する必要があります。

 

 先ほど答案文章は学生によって多種多様と書きましたが,そうは言ってもある問題に対する学生達の文章は書きぶりや内容に共通するところもあり,極端に学生によって違うということもありません。なので,何人分か採点をしていくと回答のパターンがつかめてきて採点がスムーズになってきます。

 しかし,他にもやっかいなことが時々あります。最初に作った採点基準で採点を進めていくと,想定していない視点で書かれた回答があったります。「そうか,それもアリだな」となると,採点基準を変更することになります。そうすると,変更した採点基準でもう一度採点済みの答案をもう一度採点し直すということがあります。これを何度か繰り返すこともあり,そうなるとかなり時間がかかることになります。

 

 まあ,そうやって苦労して採点をするわけです。採点後はレポート等の提出物の状況を加味したりして最終的な点数を算出し成績評価が終了です。次はその成績評価を大学のシステムに入力して,これで成績処理が終了します。

 ああ,これで全て終わった!しか~し,このまま全て終わることもあれば,そうでない場合もある。というのは,体調不良等で試験を欠席した学生のための追試があったりする。そうすると,追試の問題を新たに作成しその採点,成績登録の作業をすることになります。大抵は追試の人数はそれほど多くないので,本試験ほどの負担ではないのですが。

 

 このような試験の成績評価に関する作業が夏休みの中盤くらいまであったりします。

 

 さすがにお盆の時期は休暇を取りますが,8月末に締め切りの書類(科研費の申請など)もあったりするので,お盆休み中も家でパソコンで作業をしたりすることもある。講義がある期間は長期の海外出張は基本難しい(なるべく休講はしない方がいいので)ので,夏休み期間中に海外出張を入れることが多い。後期の開始が近づいてくると,後期の講義の準備もそろそろ始めなきゃということがあったり。そうこうしているうちに,結局あっというまに夏季休暇期間は過ぎて後期が始まるわけです。

 

 こんな感じで,大学教員にとって夏休みって「あったの?なかったの?あったんか~い」というふうに過ぎていくのが毎年のことなのです(まあ,これは私の場合の話ですが)。