大学教員,科学と教育と音楽について語る

大学教員(気象予報士)でありギター弾きのワタシが,天気に科学に教育に音楽に,日々思う雑感を語ります。

大学生を叱るのは結構ストレスなんです

 長年,大学教員をやっていると,色々なことで学生に注意したり,時には強い言葉で叱ること,叱らなければならないことがあります。つい最近もそのようなことがありました。

 

 とある講義で男子学生二人が何やらボソボソと話をしている。多分,講義の内容とは関係ない私語のようだ。少し様子を見ていたが,やめそうにない。これはあかんと思い,「そんなに話がしたいなら教室から今すぐ出て行ってから話をして。他の人の迷惑になる」というようなことを,私の怒りレベルも高レベルに達してしまっていたので,多分かなりキツめの感じで言いました。二人の学生は,注意するとすぐにシュンとして,その後二人の私語は一切なくなりました。

 

 実はこのようなこと,これまでにも割とありました。当の学生たちは,周囲に聞こえないようにヒソヒソ話をしているつもりかもしれませんが,当然ながら周りの殆どの学生は静かにしているので,いくらヒソヒソと話していても本人たちが思っている以上に耳に入るものです。しかも,ヒソヒソの方が話の内容もよくわからんから余計に腹が立つ(笑)。ということで,ちょっときつめの言い方で叱ることがこれまでにもありました。

 私語をしている本人たちは周りに聞こえていないつもり,迷惑をかけていないつもりでも(まあ,そういうことすら考えておらず,ただただ話をしたいから話をしているという学生もいるかもしれませんが),本人たちが思っている以上に周囲には聞こえている。それから,これも学生からすると少々意外かもしれませんが,教壇からは学生が思う以上にそれぞれの学生が何をやっているのか結構教師からは見えるものです。講義と関係ないこと,通販のカタログや雑誌を見ていたり,他の講義のレポートを作成していたり,いわゆる内職の様子って結構見えるものなんですよ。このことは度々学生にも話をしていて,教員によっては講義に関係ないことをやっているのを見つけたら激怒する人もいるからね,と。そういうわけで,ヒソヒソ話であっても教壇に立つ教師には結構耳に入ってくるものなのです。

 

 どこの大学でも授業アンケートというものをやっていると思いますが,この授業アンケートの中で学生からの意見(というか,クレーム)で割とよく見かけるのが,「教員が私語をしている学生を注意しなかった」というものです。ちゃんと講義をききたいという人にとっては,近くでヒソヒソ話をされたら鬱陶しくて邪魔でしょうし,それを注意しない教員には,そりゃ文句を言いたくなるでしょう。上記の二人の男子学生のヒソヒソ話についても,この授業の後に提出してもらったある学生の感想カードに「先生が注意した後に授業の話がよく聞こえるようになりました」ということを書いていました。

 

 正直言うと,いい歳した大学生を「静かにしろ」ということで叱るのは結構ストレスなんですよ。叱ったり注意したりすると教室の雰囲気はどうしても悪くなります。ただでさえ学生は質問や発言をあまりしないのに,私語をしている学生を注意して雰囲気が悪くなるとなおさら学生は発言しにくくなります。ワタクシ,多分注意する時は怒りレベルが上昇しているので関西弁が割とストレートに出ていると思います。静岡の学生にとってはその関西弁がキツめに聞こえるみたいで,端的に言えば「怖い」みたいで。なので余計に雰囲気が悪くなる(笑)。ただ,これは私の方で改善すべき問題でもあります。しかし,上記のように「ちゃんと注意してほしい」という学生もいるわけで,しっかり注意はしなければなりません。見過ごすわけにはいかない。叱るというのはなかなかエネルギーがいるもので,結構疲れるものです。決して叱ったあとに気分がスッキリするわけではない。

 

 というわけで,最近は先手必勝で,講義の初回の段階で「自分たちは聞こえていないつもりでもヒソヒソ私語は思った以上に周りに聞こえるし迷惑だ」「ヒソヒソ私語に対して迷惑に思っている学生がいて,それに対して教員が注意をしないというクレームが結構ある」「なので,ヒソヒソ私語に対してはきつめに注意している」ということを話しておくことにしています。「こっちも注意したり叱ったりするのはホント嫌なんで,そのあたり理解してくだされ」というふうに伝えておきます。

 

 まあ,「叱る」ということについては,叱る方も叱られる方も嫌なものなので,お互い叱り叱られることがないように平和に日々を過ごしたいものです・・・。