大学教員,科学と教育と音楽について語る

大学教員(気象予報士)でありギター弾きのワタシが,天気に科学に教育に音楽に,日々思う雑感を語ります。

AIは無個性なのか

 Chat GPTが話題になっておりますが,これについて下記のような記事を書かせていただきました。

yyamane.hatenablog.com

 この記事の中でAIは過去のパターンに基づいて何かしらのことを示してくれるわけであり新しい何かを生み出し示すものではない,そこには個性や創造性はないというようなことを書きました。しかし本当にそうなのか,つまり「AIは無個性なのか」,疑問に思うようになってきました。

 AIがどんどん個性的になる可能性は十分ある。これからますます個性的になっていくはずであり,新しいものを創造する力を発揮するようになっていくと思います。

 人間が何かしらを判断したり創造したりする場合,これまでの経験や体験,知識がベースになっていると思います。何もない無から新しいものを想像,創造したり判断することはないでしょう。過去に学んだり身につけたりしたことに基づいて,その時その時の周囲に対する認知(何を見て感じるのか)なんかも加味しながら新しいものを考え作り出していると思います。過去に何を学び身につけてきたのか,またどうやってそれらを得てきたのか,これらは人それぞれです。各人各様のこれまでの経験や知識,技術,感覚,認知の仕方に基づいて,それらの活用して判断や創造がなされるのであり,その判断や創造に個性が滲み出てくるのだと思います。

 AIも基本的には過去の様々な事柄を学習しそれに基づいて判断したり結果を作り出したりするものだと思います。過去のどのようなことをどれだけ学習させるのかはAIを仕込む人間次第ですが,たくさんの色々な事柄を学習させれば人間と同じような多様な判断が可能となり,そこに創造性が生まれる可能性は十分にあると思います。また,いかなる学習をどのようにさせるのかにより,AIそれぞれの個性が発揮されるでしょう。おそらく人間は過去の膨大な経験を極めて複雑なシステムで相互作用させたり引き出してきたりしていると思いますが,今後AIがそのような人間の脳の情報処理や機能を取り入れながら発展していくと,AIがそれぞれにユニークな個性を持ちながら独自の判断や創造性を発揮することは十分に考えられると思います。

 ではこのような個性的なAIの出現によって我々人間のやることは少なくなっていくのか。私はそんなことはないと思っています。個性的で創造性豊かな助っ人が増えるというだけで,我々はそれを有効活用すればよいだけの話だと思います。結局最終的に判断し行動実践するのは人間ですから。むしろAIの使い方によっては,これまでに想像もしなかったものを生み出すことも可能になってくるかもしれません。インターネットやスマホの出現がウン十年前には考えられないような現在の世界の姿を見せているように。