大学教員,科学と教育と音楽について語る

大学教員(気象予報士)でありギター弾きのワタシが,天気に科学に教育に音楽に,日々思う雑感を語ります。

なんでも数値化って,どうなん?

「数値化する」,合理的な経営や公正厳格な成績の評価において重要視されています。数値でみることで様々なことが客観的に可視化され,合理的に判断評価される,それに基づいて効果的に改善が行われる,そのような利点は確かにあると思います。

 ただ,よく考えてみると,この複雑な世の中の様々な事象が一つの数値で表されるというのはちょっと無理があるような気がします。背の高さは身長という数値でまあ十分に表すことができる。しかし,例えば数学の学力というのは,テストの点数という一つの数値で十分に評価できるのか。結局テストの点数は数学的な力の一側面を客観的に示しているのであり,それだけでは数学の力の総体を評価できない。これは過去の記事で書いたことですが,あることが科学的に証明されたといっても,それは真理の一側面に過ぎないということと同様かと思います。

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 数値化の過程においては色々なことがそぎ落とされてしまっています。そのことを前提として数値を評価し判断材料にしないといけないと思います。一つの数値で評価判断するのではなく,現象が生じている現場や対象となる人や物のありのままを実際によく観察したり,或いは数値を使うにしても複数の数値を統合的に考察したりして,多角的な観点から評価判断するべきと思います。

 私はずっと体重という一つの数値,体脂肪率という一つの数値に一喜一憂しておりました。しかし,体重って毎日のように測っていると実感するのですが,結構変動が大きい。朝から夕方までに1kg体重が落ちることもしばしば。体脂肪率も1日で2~3%減少することもある。そもそも自宅用の体組成計の精度もそんなに高くない。それらの数値だけに振り回されることなく,自分の体感(最近走った時に体が重く感じるとか)や見た目(鏡を見て明らかにお腹が出てきたとか)の変化など,一つの数値で表すことのできない観点からの観察も大事です。

 数値はあくまで一つの判断材料,それだけに一喜一憂せず,あらゆる観点から評価判断するようにしたいものです。