大学教員,科学と教育と音楽について語る

大学教員(気象予報士)でありギター弾きのワタシが,天気に科学に教育に音楽に,日々思う雑感を語ります。

インドは3食カレー?

 先日およそ3年ぶりのインド出張から帰国,とても実り多い出張となりました。実際に現地で共同研究者の方々と話をすることで,お互いの考えていることや希望をしっかり伝えあうことができたり,そのようなやり取りの中で色々なアイデアがわいてきたりして,直に話をすることの大切さを痛感しました。また,一緒に食事をしながら交流することも大事だと改めて感じたところです。

 さて,その食事に関して,毎年インドに調査研究で行ってますと言うと,「インドってやっぱり3食カレーですか?」とよく聞かれます。インド=カレーと言っていいほど,インドといえばカレーというイメージを持っておられる方も多いと思います。以下,「インドは3食カレーか?」について個人的見解を。

 「インドは3食カレーか?」と問われた時,いつも私は「極端な話かもしれませんが,日本も3食醤油ですよね。それと同じ感じです」というふうに答えています。日本では,まず朝食,例えば卵焼きの味付けが醤油だったり納豆に醤油をかけたりします。昼食,うどんやそばの汁が醤油,生姜焼き定食も醤油の味付け。夕食,焼き魚に醤油,刺身に醤油,肉じゃがにブリの照り焼き,これらの味付けに醤油は欠かせない。このような感じで「日本は3食醤油」と言っても過言ではないですよね。

 もちろんご理解いただいていると思いますが,「日本は3食醤油」といっても朝食,昼食,夕食で醤油を丸ごとがぶ飲みという意味ではなく,味付けのベースが醤油ということです。インドにおいても日本の醤油に相当する味付けのベースが色々なスパイスが組み合わさったいわゆるカレーな味付けというわけです。スパイスの組み合わせの味付けをベースにして,具材の野菜も色々な種類があり,肉はチキンやマトン,ダールよばれる豆のカレー(日本食でいうところの味噌汁みたいな感じ)など多様な料理があります。また,スパイスの組み合わせの味付けも店によって家庭によって違います。日本でも肉じゃがの味付けは店によって家庭によって違いますよね。

 カレーな風味のスパイスの組み合わせが味付けのベースであり,これは日本でいうところの醤油に相当する,このように理解していただくと,単純に「インドは3食カレー」とは言えないということがおわかりいただけるかと思います。

 インドの食事についてもう一つ。インドでも主食は米ですが,こちらの米は日本の香りがあって粘っこいものとは違う細長いパサパサしたお米です。このお米がこちらのカレーに本当によく合う!このお米にダールやらチキンのカレーやらをぐちゃぐちゃに混ぜで「手で食べる」と本当に美味です。そう,スプーンで食べるより「手で食べる」方が本当にうまい(インド人に「なんで手で食べるとうまいのかな?」って聞いたら,「手から出る汗の塩分が加わって美味いんや」って言ってました。ホンマかいな(笑))。日本のインド料理店では,ワタシの知る限りこのパサパサした細長い米でなく日本のお米でカレーを提供している店が多いような気がします。多分,日本人が食べやすいようにということだと思いますが,カレーは本格的にインドなのに米が日本の米で,がっかりすることが結構あります。インドのカレーには細長パサパサ米がベストマッチと思うのですが。